金融庁は2012年4月、内閣府、中小企業庁と連携して「中小企業の経営支援のための政策パッケージ」を公表しました。そこでは金融庁は、金融機関の出口戦略として、中小企業に対する具体的な支援の方針やその取組状況等について集中的なヒアリングを実施し、すでに一巡しているなど、監督指針に従い対応がされています。また、同パッケージの中では、金融機関に対し、金融機関によるコンサルティング機能の発揮にあたって、経営改善・事業再生支援を行うための環境整備も不可欠となっている。と述べています。
さて、金融機関による中小企業へのコンサルティング機能の発揮について参考になるのは、2011年4月に金融庁が公表した「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律に基づく金融監督に関する指針」です。そこでは、金融機関が、支援が必要な企業の再生可能性を見極めたうえで提案すべきソリューションを、
(1)自助努力で経営改善ができる企業に対してはビジネスマッチングなどによる販路拡大を、
(2)抜本的な事業再生によって経営改善が見込める企業には、DES・DDSやDIPファイナンスの活用の検討を、
(3)事業の持続可能性がない企業には経営者に廃業や転業への助言を、
の三つに分類しています。
借入元本返済猶予などの返済条件の緩和措置を受けている中小企業においては、この期間内に経営を立て直し再建に努めなければなりません。しかし、月々の返済額の減額により、かえって危機意識が希薄になり、再建手段を講じていないなど借り手のモラルハザードが指摘される傾向にあります。
日本経済新聞北関東版の9月29日の紙面では、菅野関東財務局長の談話が取り上げられ、円滑化終了後の金融機関の融資姿勢の変化に対する不安は払拭されるべきという旨の発言をされています。しかしそれは、金融機関(貸し手)と中小企業(借り手)のゆるぎない関係があってこそという前提に立つものではないでしょうか。法期限減終了後、『金融機関は手のひらを返すのではないか』という不安をもつ前に、如何に自社の経営を堅固にして行くべきかを真剣に考えなければならない、そういう時になっているのではないでしょうか。双方の関係性をゆるぎないものにするための『キー』は、従前の経営計画(事業計画)とは一線を画した「実行可能な抜本的計画」、いわゆる『実抜計画』に他ならないのです。そしてそれは、金融円滑化法の適用を受けている事業者であってもそうではない事業者であっても、経営者が自ら考え実行していくという点において変わりはないと考えます。
今回のセミナーでは、金融政策への対応と求められる真の『実抜計画』について解説いたします。 これからの時代に立ち向かっていこうとする経営者の皆さん、多数のご参加をお待ちしております。